『アウシュヴィッツの争点』(33)

ユダヤ民族3000年の悲劇の歴史を真に解決させるために

電網木村書店 Web無料公開 2000.7.4

第2部 冷戦構造のはざまで

第4章:イスラエル・コネクションの歴史的構造 3

「ホロコースト」の「欺瞞」の犠牲者はパレスチナ人という主張

 だが、このイスラエル支援の「つぐない」のあやしさはまさに犯罪的だった。「ホロコースト」を理由にして、「ホロコースト」とは何のかかわりもない現地のアラブ人の居住権をふみにじる計画だったからだ。この「つぐない」は、イスラエルとヨーロッパのキリスト教社会のみに通用する勝手気ままな免罪符発行でしかない。アラブ人にいわせれば、かつてのョーロッパ諸国による十字軍の再現にほかならなかった。こうして、ユダヤ人を先兵とする欧米諸国のあたらしい中東侵略の犯罪が、国連を舞台にして堂々と犯され、以後、半世紀続き、今後もなおつづくことが確実な国際紛争の原因となったのである。

「ホロコースト」物語の見直しを主張する歴史家、たとえばフランスのフォーリソンは、決してナチズムの共鳴者などではない。本人も『ガス室の疑問点』のなかで「わたしにたいしての、ナチズムだとする攻撃、ほのめかしのすべてを中傷と見なす」と宣言している。もっとも重要なのは、つぎのような、すでに「はしがき」でもしるしたかれ自身の見解である。

「この欺瞞の基本的な犠牲者はドイツ人(ただしドイツの支配者ではない)およびすべてのパレスチナ人だ」

 フォ-リソンの「ホロコースト」物語にたいする評価は、このようにパレスチナ人を「基本的な犠牲者」として見るものであり、「欺瞞」という表現をもちいるほどのきびしさをはらんでいる。そのきびしざは、研究そのものの深さをしめすと同時に、その研究にたいするシオニスト過激派のしつような攻撃などへの積もりに積もった怒りの表現でもある。

「歴史見直し研究所」が発行した「特別報告」、『シオニスト・テロ・ネットワーク』によると、フォ-リソンは、一九七八年から一九九三年までの一五年間に一○回の襲撃をうけている。一九八九年の襲撃は、刺激性ガスのスプレーで目つぶしをかけておいてから、三人の襲撃者がなぐる、けるの暴行をくわえるという狂暴このうえないもので、フォ-リソンは全身から出血し、くだけたあごの骨とあばら骨の手術に四時間半もかかるという瀕死の重傷を負わされた。『シオニスト・テロ・ネットワーグ』に掲載されている顔写真を見ると、まぶたはふくれ、唇はきれ、目から血がふきだし、顔全体が無残にはれあがっている。

 襲撃者たちはみずから「ユダヤ人の歴史を記念する息子たち」という組織名を名のり、つぎのようなおどし文句がはいった声明を発表した。

「フォ-リソン博士が最初で、これが最後ではない。ホロコーストを否定する連中に、気をつけろといっておけ」(ル・モンド89・9・19)。

「ホロコースト」物語はこうして、「誤報」から「情報操作」、ついには真相を暴力で押しつぷすというような段階につきすすんでいるのではないだろうか。


(34)反ナチ・ユダヤ人救助のレジスタンス闘士が「見直し論」の父